#8 ほめる(その2 状況をつくる)
昨日のつづきです。
ほめ方の2つ目は、なでしこジャパン監督の佐々木則夫氏から学ぶほめ方です。
女子サッカー日本代表に近賀ゆかりという選手がいました。W杯の最中、勝てる試合で大きなミスをし、ひどく落ち込んだことがあったそうです。プレッシャーに押しつぶされそうな近賀選手を、佐々木監督は試合前日に、あえてBチームに落とします。
プレッシャーから解放され、のびのびとしたプレーを見せた練習後、「近賀、いい動きだったな。明日も頼んだぞ」と声をかけたそうです。佐々木監督があえてBチームに落としたところがポイントです。プレッシャーから解放させて、「いい動きだったな」とほめる状況をつくりだしているのです。つまり、2つ目のほめ方は、「ほめる状況を、こっそりつくりだす」です。昨日も書きましたが、こちらが重要であり、高度だと思っています。
例えば、高学年を担任したとき、始業式などで体育館に集合、整列するとき「静かな雰囲気をつくることができたね」「さすが高学年!」とほめるために、私は1学期の途中くらいから日本中の学校で大流行中(笑)の「前へならえ」制度をやめます。
「『前へならえ』ってやるよね。あれって何のためにするんだろう。」
こう問いかけると、子供たちはちゃんと分かっています。「前の人と間をあけて座りやすくするため」「まっすぐ並ぶため」・・・
そこで、決め台詞。「それって、『前へならえ』しなくても、みんなならできるんじゃないかな。」(真顔)
こう言うとはりきってやります。そして、余裕でできます。結果、体育館へ入場→整列→着席まで教師も子供も一言も発さずに済みます。すると「静かな雰囲気をつくることができたね」「さすが高学年!」とほめる状況がつくれるのです。
(もちろん運動会など全体でやる場合はやりますよ。)
でも、整列するときは「前へならえ」という普通は、これからは変わってほしいなと思っています。(だって、大人になってやりませんよね。「前へならえ」・・・。)